ただの事務職なのに「どうして銀行の一般職はこんなにハードに働かなくてはいけないんだろう?」と考えている行員も多いことでしょう。
実際、私がまだ銀行に勤めていた時には「銀行員のやりがいなんて、年に一回、一週間の休みが取れることだけだわ」と話していた先輩がいたほどです。
新入社員の頃ならまだしも、常にやりがいを見出して銀行員を続けられている人は少数なのかもしれません。
銀行員のやりがいとは何だったのか?退職してから考えてみました。
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銀行員のやりがいを退職してから考えてみた
「私」の為に来店して下さるお客さまがいる
銀行の窓口で働いている人が一番やりがいを感じる瞬間は、お客さまから「○○さんに会いに来たよ」や「○○さんにお願いしたくて」と、言って頂ける瞬間です。
それぞれの銀行が取り扱う金融商品や金利は、さほど大きな違いがある訳ではないので、他行との差別化を図れるのは「銀行員自身」なのです。
特にテラーと呼ばれる窓口担当者は、その支店の「顔」とも言える存在なので、顔や名前を覚えて頂けることは大きなやりがいになります。
例えば、ご家族が亡くなって相続の手続きをして差し上げたご夫婦のお客さまが、とても感謝して、ご自身の資産運用を依頼して下さったことがありました。
そのご夫婦は、そういった資産運用はこれまで一切したことがなかったので、ご説明には時間もかかりましたが、納得した上で国債を500万円も購入して下さいました。
こういったお客さまとの出会いは、銀行員冥利に尽きますね。
難しいオペレーションが一人で出来るようになった時
窓口後方で事務を担当している人は「正確・迅速・丁寧」に事務が出来て当り前!と言われるのが銀行員の世界です。
その中でも、難しいオペレーションが出来るようになった時は、仕事のやりがいを感じることができます。
行内のオペレーションは、ただ入金・出金をするだけではありません。
- 振込
- 為替手数料の計算
- 貸越利息の徴収
など、複雑な計算やオペレーションの組み合わせで行われているのです。
直接お客さまから褒められるわけではありませんが、指導担当の先輩が褒めてくれるだけで、達成感を味わえて嬉しくなります。
繁忙日をミス0で乗り切った時の一体感や達成感
毎月25日や月末は、銀行員は朝から憂鬱な気分で過ごしています。
9時から15時までの窓口が空いている時間は、息つく暇もない程忙しく、フロア全体が戦場のようになるからです。
テラーは現金勘定に気を使い、後方担当者はオペレーションのミスのないように仕事に集中します。
そして、最後のお客さまがお帰りになって、ようやく緊張の糸が解けるのです。
繁忙日をミスなく終えられた日は、行員同士がお互いがお互いを労い合います。
そんな日は上席もご機嫌ですし、妙な一体感を味わうことが出来るので、チームスポーツで勝った時のような気持ちになります。
貯蓄や保険など人生に役立つ知識が身につく
銀行員は、お客さまの資産運用に役立つ知識を身につけるべく、日々、資格試験や自学自習に取り組みますが、これは自分自身の人生にも役立ちます。
円預金の金利は毎週自然とチェック出来ますし、米ドルの為替の動きや日経平均も毎日の朝礼で発表があります。
また、保険や投資信託の新商品が出ると、わざわざ保険会社や本部から担当者が来て、説明を受けることが出来るのです。
日々の仕事の中で、自分の人生に役立つ知識を身につけることが出来るのは、銀行員という職業の魅力の一つであり、特権でもあります。
やりがいが持てない銀行員はどうするべき?
銀行業務は、仕事がきつい分、やりがいを感じられる場面もたくさんありますが、毎日、何年、何十年と同じ空間の中で、常に新しいやりがいを見つけることはそう簡単ではありません。
マンネリ化した毎日の中で、やりがいを見つけることが出来れば、何とか仕事を続けることは出来るでしょうが、こういったやりがいさえ持つことが出来ない人は、銀行員として働き続けるのは難しいのが現状です。
私は既に銀行という職場から離れていますが、退職して感じたのは「世の中には沢山の仕事がある」ということです。
私は銀行経験を活かした新しい業界に転職して、今とても充実しています。
銀行員という仕事以外にも、あなた自身がもっとやりがいを感じることができて、魅力的な仕事はきっと他にもあるんじゃないでしょうか?
やりがいを持てない中で仕事を続けていくのは、モチベーションの低下にも繋がりますし、そんな状態で仕事をするのは同僚や上司にも失礼にあたります。
今の仕事と真剣に向き合い、それでもやりがいが持てないと思うなら、新しい仕事に目を向けてみると良いかもしれませんね。